副題に「新しいビジネスエリート」と題された本書ですが、人間分類を上手に行っています。人の分類は、技術を掘り下げ自分の世界に没頭していく「クラフトマン」、与条件に手を出して政治的な動きのなかで地位を確立する「ジャングルファイター」、組織の中の位置づけから自分に求められている役割を見事に演じる「カンパニーマン」と前置きがされ、そうではない余事象として「ゲームズマン」という概念をあげていました。 「ゲームズマン」は、個人的な思い込みに生きることなく、条件を素直に受け止め、普遍的な立場を兼ね備える、そういった生き方を選択した人のことになります。だからそこには目的はなく客観的な事象の積み上げ=「ゲーム」になっていきます。個人的な思い込みに生きると客観性はなくなり、条件を変えると今度は自分が設定した条件があだになるし、役割と立場によって意見を変える人の言葉は信じがたい。 十人十色といわれるデザインという多様な価値観を扱う場合、単純な美しさで決まることなどほとんどありません。仮に「美しい!」で簡単に決まったとしても、その礎は脆いため、簡単に覆されてしまいます。覆されない積み重ねが粘りと強さそれと「美しさ」を含んでいきます。 事実、デザインは最後の種明かしで、「ゲームズマン」を演じきって最後にひと言「ね、綺麗でしょ?」っていう言葉を放つ人に色気を感じます。(多くの人は最後の目的にコストを設定しているけど、それはあくまでも「条件」と考えています。)言葉をつかって無形のものを扱う場合、最後にたどり着くまでは何やっているかわかんないけど、だからこそ「ゲームズマン」になるべきだと思う。 ダイヤモンド社 1950円 1977/2/16 初版
by ssnostalgia
| 2004-06-17 06:54
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