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「モザイク」 社会適応
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田口ランディさんの小説「モザイク」を読んだ。自分探し系の物書きさんで、よく知られているのは親兄弟などが持つ家族的な問題や幼少期のトラウマ的なものを盛り込んだ「コンセント」で、これは映画にもなっている。続編的なものとして幾つかあるが、彼女は精霊とか巫女さんとかエクスタシーとかの原始的な人間が持つだろう力をモチーフとしてそれを信じよりどころとして書いている。身体感覚を信じているという意味で私は好感が持てる。

「モザイク」は子供の成長と社会適応を題材に書いている。身体感覚(痛いとか危ない)を身につけないで(経験しないではなくて経験出来ない状況)成長した子供はろくな大人にならないとよく言われるが、そういった子供を否定することを問題にするのでなく、大人は子供に無償の愛情を注ぐことをざっくりと表現していた。子供が成長していく段階で社会に適応していこうとする意思やその原動力はそういった関係の中にしか生まれないのだろう。

個人の認識のよりどころ、関係を築くベースとなるモノがこれまでの社会では「身体感覚」であった。しかしそれが機能不全の社会となっている。身体感覚を経験として積み重ねることがしづらい状況になった社会が情報化社会である。良いとか悪いとかの問題ではない。しかし、情報化社会にも「身体感覚」の役割を担う代替が社会の仕組みの中に必ずある。そして、その代替となるものを基盤とした社会が近い将来成立するが、それは人間の本質を根本的に変えていくのだと思う。

写真は2002年ミャンマー、ヤンゴンの屑屋(?)の少年
身体感覚はこうやって培われていくんだろうな。
by ssnostalgia | 2004-05-26 00:43 | book
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