ロード・オブ・ウォー
実話をもとにした戦争ビジネスの映画は、武器商人の生きる糧つまり戦争をマーケットとして見るのかマーケットとして見ないのかを主人公の兄とその弟の結末を描くことでによって、ビジネスとはなにかを問いかける。 もちろん、戦争はマーケットではないだろうが、戦争をマーケットと見る人がこの世にいるから、戦争をマーケットとしてみない人が浮かび上がる。ほとんどの人は後者だろう。必要とされるモノは、どんなものでも流通するし価値がでる。価値が生まれれば価格競争と平行して、マーケットから利益を生み出そうとする。 この映画での主人公の主張を要約すると「自分がやらなくても誰かが必ずやる。だから、戦争も戦争ビジネスも絶対になくならない。流通の立場に自分がいるだけ。戦争を望んでいるわけではない。戦争を望む人々がいて、武器が必要とされるその事実を事実として捉え、そこに自己はない。」 主人公の弟はその対極として描かれ、自分が売った武器で人が死ぬ現実に耐えられなくなり、麻薬に手を出し薬漬けになる。その後、武器取引の場で正義感を持ち出したため撃たれて死んでしまう。 兄はただ観念に生き、弟は現実から離れなかった。幸せはどちらにもない。観念に生きなければならない現代の事実を受け止め、「観念に生きる」そのなかに強い自制心と善を持ち込むしかないのだろう。
by ssnostalgia
| 2006-01-25 12:25
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