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THE BUTTERFLY EFFECT
バタフライ・エフェクト

カオス理論を表す言葉に以下のようなものがある。遠くの蝶著の羽ばたきが巻き起こす僅かな風が、はるか彼方で大きな嵐を巻き起こす。映画冒頭のキャプションである。蝶の羽ばたきほど主観から程遠くないが、子どもの頃のいくつもの出来事が今現在の私たちを含めた世界を形作っている。これは事実であろう。

未来を決める節目の出来事で記憶を失う主人公の設定である。彼は特殊能力な能力を持つ。それは日記(=過去)を書き換えられる能力である。日記に記述できる部分は記憶しているので当然書ける。しかし主人公は子どもの頃、断片的に記憶を失い覚えていない部分がいくつかある。もちろん日記でその部分の記述はされていない。

失った重要な部分の記憶、思い出そうとしても思い出せない部分の記憶が、現在にいきる彼の今を決めている。忘れてしまった部分を心の深遠まで探りなんとか思い出す。すると時間を遡りその当時まで戻り、違う選択をおこない彼自身の未来を変える。つまり、現状に不満を持つ主人公は記憶を書き換え、自身の現状を変えていくことを主題とする映画である。

日記を書き換える、つまりは過去の自分に戻り、違う自分の行動を選択し、現状を選択した自分を否定する。(選択する先は当然、選択してみないとわからないのであるが。)そうすると当然であるが過去が変わるため、日記を読んでいる今現在の自分に大きな変化をもたらす。

主人公が過去を事実を書き換えるほど、現在の自分の状況を許せない部分はよく理解できる。あまりにも不幸な状況が彼を取り巻いていて、その原因を選択したのは主人公自身であると感じているからである。子どもの頃の彼を取り巻く環境が歪んだ大人社会(隣家の幼児虐待を原因とした反動)であったのが一番の根本であったが、映画はここに主題を置いていないと感じる。

好きな彼女のため、友人のため、母のために何度も記憶を書き換え過去を変え、現在を操作する。現在の自分がいる世界を変えていくのであるが、全てが思い通りになり、彼の望む世界が手に入るわけではない。

好きな彼女を守るため、愛するからこそ、お互いの存在を知らずに現世で生きていくという仏教思想に近い映画の終わり方であった。本当か?と懐疑的になりながらも、「愛する人を守る」などと対象を卑下してみない私の考えの一部でもあるのだろうとも感じた。

1・文句なく面白い映画であったし、「プライマー」と並んで観念的に今年一番の映画だとおもう。

2・文学的には「ヴィラ・ドレイク」と「そして、ひと粒のひかり」で、映画としては「ミリオンダラーベイビー」が今のところの今年の映画ランキングのトップ。本年の残されたあと2ヶ月、ワタクシ映画ダービーを楽しんでいこうとおもう。
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by ssnostalgia | 2005-11-09 12:51 | movie
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