小沢昭一・土方鉄
涙なくして読めない本のひとつ。土地から離れて生きる人、すなわち芸能人。その原点に遡ると被差別者=部落問題にぶち当たる。土地からの上がりを期待できない人々は己自身の価値を高めようと芸を覚え糊口を潤す。今では到底考えられないギリギリの生活の中での芸は「生きること」はどういうことで「死ぬこと」はどうゆうことかと直結していた。 芸能が「弔い」と「祝い」の両方を体現し一般人=カタギに広く受け入れられた理由の1つに神様仏様に表される信仰があるのだと、「天皇制」を引き合いに出して小沢昭一は述べる。認めがたい「天皇制」というしっかりとした土台=大きなチカラがあるからこそそこを離れて生きる「芸能」がはじめて芸として高められるという。この視点は「比喩としての天皇制と個の自立」は共存しているという矛盾を含んでいるが、人間を一番表しているとも思う。 1・モノを運ぶ力が必要な時代、馬を買うために娘を身売りする。馬を養うことができないもしくは買う事ができない場合は、娘を売らずに労働力として使い、なおかつ犬を労働力として使う。「猫の手も借りたい」は事実犬を労働力として使っていたから生まれた言葉だと初めて知った。 2・好きではじめたことは簡単に辞められるが、やめたくてもやめられない状況で身についたものが芸になる。「好きこそモノの上手なれ」はやめられない状況を過ぎて身についた芸が好きになることの意。
by ssnostalgia
| 2005-08-25 08:50
| book
|
link
最新のトラックバック
以前の記事
2008年 03月2008年 02月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 2004年 06月 2004年 05月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| |||||||
ファン申請 |
||