ちゃんと話すための敬語の本
統治するための仕組みとして冠位十二階が作られた。社会を治めるための身分制度である。絶対的な力は必要とされ、また演じられ続けてきた。そういった時代に作られた日本独自の言葉である敬語。敬語は社会の仕組みとあいまって尊敬・謙譲・丁寧と社会的な自分の立場に適応した使い方使われ方があった。 身分制度がなくなってしまった現代社会での敬語の存在自体が矛盾である。人を呼ぶ時に「おまえ」「きみ」「あなた」と使う。その意味する距離感が身分制度があった社会と現代社会では優劣がまったく違う。身分制度のある社会では「おまえ」が最上の意をもっていたが、現代では人に対して「おまえ」は失礼なのである。(親しい間柄は別)その他、敬語に関する楽しい矛盾がいくつも分かりやすく書いてある。 言葉を作り出した社会が無くなり、言葉だけが残って、現代を拘束する。拘束された現代は、言葉から逃れられるのか?それを疑問に思う天才橋本治は、十代向けの本書で、若者に新しい価値観の想像を問いかける。言葉をうまく使えない若者こそ可能性があるのだろうか?大人の価値観は崩せないのだろうか?観念と現実の倒置をさらりと扱ったシンプルで素晴らしい本である。 追、冠位十二階の最下位が頭の良さを指す「知」です。知識は道具で、だから最下位です。 最上位は人を動かす「徳」。人を動かすのは徳しかないね。これも納得。 2時間もあれば読める本です。オススメです。
by ssnostalgia
| 2005-02-26 08:25
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