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「パイプオルガンと政治」
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場所に依存するという意味で、ホールのピアノを例に挙げると、そこに設置されているピアノの性能がホールの善し悪しを左右するほど大きな要因になっている。ピアノは備品的なものと考えられるが、恒久感があるため場所性を喚起させるといえる。スタインウェイ戦争の高木祐さんが行うピアノの持込という仕組みも生まれてきたが、場所に依存するということは否めない。

パイプオルガンはさらなる場所性が付け加えられる。ほとんど建築空間と一体と考えられる機能である。ピアノよりもはるかに大きく高価で数千万円から数億するという。施設の運営やあり方まで視野に入れたを建築計画に組み込まれる大きな要因となる。事実そういった経緯で選定されているものも少なくはない。

多くの場合は地方自治体のトップの一声で設置されている。地方自治体の首長は大統領と言われる所以がそこにはある。政治的な目的であったり個人の願望であったり「何かやらねば」という立場の顕示欲であったり理由は様々だろう。ひとついえることは、不順な目的は機能する仕組みを生まないという事実だけである。

パイプオルガンなど一般的とは言えない特殊解であろう。それらのあり方は議論を重ねなければ存在理由を生み出さないはずであるが、一番大事なところを外してしまうところに、無駄なインフラ整備(=農業空港や湾岸整備などの利益を求める安直な考え)以上の幼さを感じる。その幼さは崇高だとされる芸術を否定することを避ける日本人特有の「甘え」と感じられる。この種「甘え」は考えることの放棄につながって、たとえば「だれそれの作品だから良いはずだ」に類似した考え方を基盤にするのだろう。芸術は決して崇高ではなくドロドロと存在理由を問われるほどに庶民的なはず。

公共ホールへのオルガンの設置はオルガニストにとっては良いはずだが、国民全体から見るとどういったことなのかを主題にした本:癒しの楽器、パイプオルガンと政治でした。草野厚さんが音楽好きなんて知らなくて、音楽を好きだからこその本書の内容が語られたのでしょう。

写真はヤマハから、、、
サントリーホールのパイプオルガンです。
by ssnostalgia | 2004-08-15 15:44 | book
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