生まれてきた子どもにも人格がある。身に美しいと書いて躾と呼ぶが、伝統を守るため或いは集団として生きていくために教育をして子どもをその一員としていく。伝統側、言うなれば大人側にヘゲモニーがあった時代、「子どもを躾ける」「子どもを教育する」これは成り立った。そういった体制側が機能不全になった今後の社会を考える場合教育はどうなるのか。 時代が変わっても人間として変わらない部分は確かにあるが、変わっていく部分にこの先の時代の人間のあり方がある。変わっていく部分に一番順応していけるのが子どもたちであって、大人ではない。自分の意思で母親の子宮から這い出てきた赤子は自分でへその緒をきって歩き出す。なんとも現代的なビジュアル表現で、母親の意味の消失を飛び越えて問いかけられるべき大人と子どもの関係を主題としている。 神話を語るように作られた映画であったが、現代社会の変革を組み込んだ神話を意識して製作していた。劣者だった女性と男性の関係成立や男社会を維持する仕組み、子を産む役割を押し付けられた女性の在り方などなど、問題の根拠はすべて同根である。理屈の上では女性問題は解決されたが、子どものあり方は誰も見えていない。だから表現の世界はその関係のあり方を模索している。 この映画の結論は、女性を救うのは子どもとしていた。「キリクと魔女」はなんとも結果で原因を解決していた。問題の解決なんてそんなものなのかも。。。
by ssnostalgia
| 2004-07-21 19:39
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